当事務所に相談がある相続の事例でよくあるのが、配偶者やお子さまがいない方が亡くなったケースです。

この場合、大抵は仲が良かった兄妹の方が相談に見えられます。その他の兄弟姉妹の方と疎遠になっており、さらに亡くなった方もいて、誰が相続人なのかわからないのでどうにかしてほしい、というご相談です。

配偶者も子もいない状態で亡くなった場合、兄弟姉妹全員が相続人になります。さらに、亡くなっている兄妹姉妹がいる場合は、その子(甥とか姪)が相続人になります。(民法889条)
ただでさえ疎遠になっている兄妹姉妹の子となると、顔も知らない場合も多いです。

身の回りの世話をしていた近い兄妹と、まったく面倒をみていなかった兄妹でも、原則的には相続分は同じです(特別受益が認められる余地はあります)。
こうなるとやはり心情的に遺産分割協議をするのは難しいです。まず居場所が分からない事も多いですし、遺産の話もしづらいでしょう。

このような場合は、遺言書があると効果的です。仲の良かったり面倒をみてくれた兄妹に全額を相続させる内容の遺言書です。
これがあれば、他の兄妹には遺留分がないので、もめる可能性が非常に少なくなりますし、遺産分割協議をする必要もなくなります。
自筆証書遺言だと検認の手続きで他の兄妹にも裁判所に来てもらわないといけない可能性があるため、公正証書遺言が良いと思います。

当事務所の遺産承継業務では、面識のない相続人を調査して連絡をすることも可能ですので、もし相続が発生したけど誰が相続人かわからず困っているかたは一度相談していただければと思います。